株式会社OpenSkyってどんな会社?代表・本多重人が語る、ビジネスジェットを活用したサービスが担うアジアの空の未来

「飛行機を身近な移動手段に」

そんな想いを掲げ、2018年に生まれた株式会社OpenSky。会員制の小型ビジネスジェットのメンバーシップ型運航サービスを展開しています。

ですが、エアラインが主流な日本において、ビジネスジェットを活用する事業会社は稀有な存在。「なぜ、ビジネスジェット?」「ビジネスジェットで何が解決できるの?」と気になることは山積みではないでしょうか。

今回は、OpenSky代表・本多重人が、日本における航空産業の課題や、自社サービスの展望について、詳しくお話します。

1.「エアライン主導の日本」からの脱却:
ビジネスジェットの普及のための課題と展望

航空業界のなかの「GA」の産業が、ほとんど機能していない

そもそも、航空業界は大きく「定期航空路線(エアライン)」「軍事航空」「ゼネラル・アビエーション(以下GA)」の3つにわかれます。

GAというのは概念がとても広く、エアライン・軍事航空を除いたすべての航空産業を指すのですが、日本ではこのGAの産業が、ほとんど機能していません。

そこでOpenSkyでは、日本でGAを活性化させていくために、短期間で大きなインパクトを出せる事業をやろうということで、海外で大きく成長した事例もあるビジネスジェットを、事業の根幹に選びました。

ビジネスジェットの普及が遅れた2つの理由

なぜ、日本ではGAが普及しないのか。理由は2つあると思っています。

1つ目は、歴史的背景です。そもそも日本の航空産業は、戦前から戦中までは良かったです。戦前は、航空先進国から技術のキャッチアップを行っていましたし、その流れは戦中まで続いていました。

しかし戦後になると、日本はエアラインを中心とした政策に偏重し、それ以外の航空産業については考えなくなりました。その流れが今も続いているので、GAは弱体化してしまったんです。

2つ目は、新規航空産業に参入してくる会社がとても少ない点ですね。参入があったとしても、そのほとんどが潰れるか、大きく成長しないままになっています。

理由としては、日本では航空系の会社がエアラインばかりになってしまったがゆえに、それ以外の航空事業のことがそもそも認知されていないからですね。「海外ではどんな事業があって、どんな会社が成長しているのか」といった基本的なことを知らないことが、参入者の減少と失敗につながっているように思います。

2.世界との比較: ビジネスジェットがもたらす可能性

海外ビジネスジェットの成功例とアジアの空の可能性

ビジネスジェット事業で世界一の会社として、アメリカのNetJetsという会社があります。

この会社は、大体900機ぐらいのビジネスジェットを運航している会社なのですが、こういったビジネスモデルの会社は、アジアではまだ前例がありません。

OpenSkyでは、日本・中国・韓国・台湾のアジア4か国での展開を目標としていますね。海外で成功したビジネスモデルを、アジア版にアレンジすることで、事業を成長させることができると考えています。

前例のないアジアをビジネスの拠点に選ぶことに、不安はありませんでした。

そもそも世界のビジネスジェットの市場は、1位が北米で、2位がヨーロッパです。一方で、富裕層人口に関しては、日本・韓国・中国を合わせると401万人、ヨーロッパは325万人で、ヨーロッパよりもこの3カ国の方が多いんです。

また地理的にも、ヨーロッパと比べて、日本・中国・韓国・台湾のエリアが小さいというわけでもなかったので、アジアがビジネスジェットで成長できない決定的な要因はありません。ちゃんと開拓すれば、ヨーロッパの市場を上回ることができそうだとさえ思っています。

地方における交通インフラの提供

実は、海外のマーケットと比較したことで、アジアはもちろん、国内でも可能性が見えたことが他にもあります。それが、地方における交通インフラの提供です。

意外かもしれませんが、海外では飛行場や空港と呼ばれるほとんどが、舗装されていないただの開けた土地で、それが各地に点在しているんですよ。そのため、みなさんが想像する空港を作らなくても多くの場所で飛行機の離発着をすることができるんですね。

しかし日本では、舗装された滑走路のある空港が主要都市にあるのみで、開けた土地の活用や、滑走路のない地方から定期便を飛ばすといったことが、ほとんどできていません。具体的にいうと、日本で草地滑走路がある場所は、まだ20箇所程度です。

その事情を知ったときに、過疎地の開けた土地を簡易飛行場として活用することで、地方に交通インフラを提供できるのではないかと思いました。

今後地方では、人口の減少により、鉄道やエアラインなどの提供が難しくなるエリアが増えていきます。そういったエリアに、すでにある土地を利用して簡易飛行場を設置することで、地方のアクセスを改善へ導くことができるのではないでしょうか。

3.所有権から始まる新しいサービス体系: OpenSkyのアプローチ

ビジネスジェット所有権の提供による新しいサービスモデル

OpenSkyが現在注力しているのは、小型ビジネスジェットのメンバーシップ型運航サービス事業です。これは、富裕層や法人に向けてサービスを提供しています。

ビジネスモデルは、私たちがビジネスジェットを仕入れて、その所有権を分割して販売し、購入いただいたお客様の希望に沿って、ビジネスジェットを飛ばすといった仕組みです。

なぜ所有権が、未来の空の移動において重要なのか

所有権を分割するメリットは、まず、ビジネスジェットをまるごと購入するより、圧倒的に安い点です。

例えば、弊社で扱っている航空機を新品で買うと、7〜17億円くらいします。お金にゆとりのある方でも、手が出しづらい価格帯です。それを私たちが代わりに購入し、所有権を分割して販売することで、お客様は数千万円程度でビジネスジェットを所有することができます。

もうひとつは、所有権を持っている航空機に限らず、OpenSkyが所有するすべての航空機が利用できる点です。というのも航空機は、定期的なメンテナンスなどの兼ね合いで、使いたいけど使えない時期というのが必ず発生します。

「自分が購入した機体が整備中だから、使いたいけど使えない」といったことを防ぐため、OpenSkyでは航空機のオーナーさん同士で、飛行機の貸し借りを許可する契約を結んでいただいています。これも、このビジネスモデルならではの特徴のひとつです。

今はまだ小さな規模ですが、今後は徐々に機体や運営体制を拡大していき、まずはアジア4カ国にしっかりと使っていただけるサービスに成長していきたいです。

そうすることで、少しずつ会社としての余力もついてくると思いますし、余力ができたタイミングで、地方を活用した簡易飛行場の設置も行いたいと考えています。

地方を活用したビジネスモデルとしては、小型ビジネスジェットの事業で数年間使用した航空機を、交通インフラとして地方での利用に振り向けて活用していきます。実は、こういったことを日本でやろうとしている会社はあまりなくて。やろうとしていても、税金を活用している会社がほとんどです。

しかし私たちとしては、民間資金で持続できる運用体制をつくっていきたいので、自らの資源を再利用してコストを抑えつつ、運用の手助けを行うのが持続可能性の高い方法だと考えています。

4.OpenSkyの挑戦と目標: 「飛行機を身近な移動手段として使える未来」とは

事業を通じて実現したいのは、空を活用できるようにすることで、人や社会の可能性を広げたいです。

公共交通機関しか使えないと思っていることで、無意識に諦めていることってたくさんあります。

例えば、ビジネスにおいて「夜に大阪で大事な取引先と会食があり、翌日の朝に東京で大事なアポイントがあるため、新幹線もしくはエアラインの最終に乗らないといけない」みたいなシーンは意外とあります。

しかし、会食が長引いて最終便に乗れなかった場合、現状では東京のアポイントを諦める方が多いのではないでしょうか。

そのようなシーンにおいても、ビジネスジェットがあれば早朝・深夜での移動ができるため、どちらの予定も諦めず遂行することができます。

ほかにも、目的地が悪天候でもその周辺の空港におりて、地上移動で目的地に行ける・アクセスが困難な地域にもフラッと遊びにいけるなど、ビジネスジェットがあれば、時間・場所に縛られない移動が可能です。

OpenSkyの事業を通して、ビジネスジェットを「身近な交通手段」として広めていきたいです。そうすることで人々の移動の制約を取り払い、最終的に企業や社会の発展につなげることができると信じています。

最後に、これからOpenSkyに入社する方に伝えたいことを。

OpenSkyはエアラインではなく、ビジネスジェットを運航している会社です。ゆえに日本の航空産業のなかでは、すごく稀な存在なので、ほかではできない経験を積むことができますし、事業を拡大していくフェーズも経験できるので、毎日がとても刺激的です。

日本やアジアの空は、まだまだ開拓の余地がありますし、解決すべき課題もあります。OpenSkyの事業を発展させることで、日本やアジアの航空産業を共に活性化させていきましょう。

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